治したい、睡眠中の有害な症状
~練習中に水を飲んではいけない?~
中高生のころ常識のように言われたこの言葉ですが、現在ではスポーツ時に水分補給を行うことは常識となっています。ではなぜ、水分補給が必要なのでしょうか?また、どんなものを飲めばよいのでしょうか?今回はこれらのことについてお話しします。
水分補給の目的は「体温上昇を抑える」、「発汗で失った水分を補う」などです。体を動かすということは筋肉を使うということですが、筋肉を使うと熱を発生します。これは体内のエネルギーが筋肉を働かせるために使われているからです。この、体内でつくられた熱を体の外に逃がすために汗をかいたり、冷たいものを飲んで中から体を冷却します。
もし熱が逃がせないと痙攣や失神、めまい、嘔吐、意識障害、過呼吸、ョック症状などの原因となってしまいます(熱中症)。スポーツ時の発汗量については運動強度と時間、環境条件などにより異なりますが、1時間に大体0.6~1.2リットルだと言われています。人間の体内の水分は体重の約6割で、そのうちの62%が細胞内、残りの38%が血液や細胞外の水分として存在しています。水分補給をしないと、なかでも血液中の水分が汗として失われるそうです。
また、運動直後に体重が減少するのは脂肪が落ちたからではありません。その理由のほとんどは血中水分が体から出ていったためで、運動後に体重の2~4%(体重60kgの人だと1.2~2.4kg)が減ると口渇感、4~8%(2.4~4.8kg)減ると全身衰弱など、8%以上(4.8kg以上)減ると精神障害などを生じるといわれています。
【どんなものを飲めばいいの?】
あなたなら運動するときどんなものを飲みますか?お茶、スポーツドリンク、ミネラルウォーターなど色々あると思います。水分補給だけであればどれを飲んでも問題ではありませんが、運動によって体から失われるものは水分だけではありません。水分のほかにミネラル(ナトリウム、カリウムなど)も汗として出て行ってしまいます。これを補給しないと筋痙攣や低ナトリウム血症の原因となります。低ナトリウム血症、聞きなれない名前ですが、運動中の水分補給と関係のある病気です。
2002年、毎年アメリカで行われているボストンマラソンで死亡者が出ました。その原因が低ナトリウム血症だったのです。低ナトリウム血症とは水分の取りすぎで体内が逆に脱水となってしまう病気です。発汗量よりも多くの水分を摂ると、血液中のナトリウム濃度は低下、それを防ぐため無意識のうちに水分を取らなくなり、尿として排泄します。脱水してでも体液のバランスを保とうとするのです。そうならないためにも水分と塩分(ナトリウム)両方を摂取する必要があります。このため、どのスポーツドリンクにも、だいたい0.1%程度のナトリウムが含まれています。理想的には0.2%程度の塩分濃度の水分補給が脱水からの回復に有効と言われています。
運動時の適切な飲料としてはスポーツドリンクがおすすめですが、お茶やミネラルウォーターと一緒にナトリウム(食塩を含む食品)を摂るのも良いかもしれませんね。(※食塩の取りすぎにはご注意を!)
これがトップアスリートになると練習用、試合用のドリンクがあり、競技の展開と身体的変化に応じて、いつ、なにを、どのくらい摂取すべきか予想し、飲み分けているようです。みなさんも運動前、運動中、運動後の水分補給をして健康な体を保ちましょう!
2005.10.27