転ばぬ先の・・・高齢者の転倒に注意
「昨日転んじゃってね」という会話は、若者であれば笑い話になりますが、これ
が高齢者なら状況
によっては深刻な事態を招きかねません。たかが転倒と甘くみるなかれ。「自分
の意思からではなく
地面またはより低い場所に膝や手等が接触すること」と定義され、医学的にも重
視されており、
何よりも高齢者の死亡原因の上位に君臨する転倒。今回はこれを紐解きましょう。
1 何が「転ばせる」のか?
(1)原因は内と外-概要
転倒の原因としては大きく身体的な内的要因と環境に関連する外的要因に分
けられます。
内的要因には筋力の低下やバランスの障害が、外的要因には床の状態や障害物
などが挙げられ
ます。たった5センチの段差が命取りになることだってあるのです。この「内
と外」に加えて
目まいや記憶・判断障害も絡むなど複雑に要因が絡み合い、転ぶわけです。
(2)原因は内と外-詳細
もう少し詳しく内と外を見ていきましょう。
①内的要因には、内臓や認知症などによる「身体的疾患」や、反射神経や視
力の衰え意などに
よる「加齢変化」があります。さらに、疾患に伴う服薬にも要注意です。さら
に食生活でも、
糖質の取り過ぎによる疾患から転倒を誘発することもあるとのことです。
②外的要因は比較的わかりやすいですが、暗い照明や急な階段、カーペット
のめくれのほか
駐車場の車止めのような歩く際の凹凸など、要は「バリアフリーやユニバー
サルデザインに
なっていない箇所」が注意箇所です。
2 何で予防するのか?
(1)何度でもあると「思う」
転倒は再発するものと思って、高齢者ならば過去に転倒したことがあるか、
どんな状況で
あったのかをまず把握して、予防の手立てを考えるのです。よくわからない場
合には相談
外来を活用するのも手です。
(2)やはり基本は「転びにくいカラダ作り」
内的要因のうち身体的な衰えは、止めはできませんが遅らせることはできま
す。機能低下
を予防するため、適度な運動、身の回りのことは自分でするなどに心がけるこ
とです。
(3)服薬は専門家に聞く
せっかくの治療薬で転倒していては元も子もありません。睡眠薬は気をつけ
るでしょうが、
そのほかの薬であっても、複数の薬を服薬する場合には何を注意すべきかを医
師とよく相談
しましょう。
(4)外的要因は「プラス・マイナス」指向で
外的要因の解消には必要なものを加える「プラス思考」と、危険なものを排
除する「マイナス
指向」でいきましょう。家の中には階段の手すりや、つかまりやすい家具を固
定する、また、
暗いところの照明を加えましょう。
そして、躓きやすい障害物は排除しましょう。敷居のある段差はバリアフ
リーに、などです。
また、外出は、天候不順の際には控えましょう。特に積雪の場合には若者でも
転倒の危険性が
頂点に達します。外出はやめるべきです。ネガティブではなく、君子危うきに
近寄らず、です。
一番大事なのは、歩くことを重要視することです。
そして、そこに潜んでいる危険があることも、忘れずにおいておきましょう。