痛みというのは、我慢できない場合にはだいたい早期に医療機関へ向かう対処をしますが、かゆみというのは、我慢できないわりに、何とか自己処理を考えてしまう、そんなことはありませんでしょうか。
今回は、かゆみを伴う症状「じんましん」を取り上げます。皮膚が赤くなったりするだけだと思わないで、慎重に対処するに越したことはありません。
1.ポピュラーな疾患
全体の約2割ほどの人が、一生に一度ならずそれ以上は経験するという、じんましん。この病気は急性と慢性に分けられます。皮膚の中にある細胞(マスト細胞といいます)に何らかの刺激が与えられることにより、この細胞から出される化学物質が皮膚の細い血管を拡張させ、これが外に「皮膚の赤み」を演出します。加えて、血液中の水分の影響で浮腫が起こり、神経が刺激されます、これが「かゆみ」を演出します。症状が出るのは全身の部位を問いませんが、良く出るのがお腹周り。ベルトやゴムで圧迫されるところ、つまり軟らかいところに出やすくなります。
2.原因は何か
では、じんましんの原因とは何か。大きくはアレルギー性、非アレルギー性、そしてよくわからない原因不明、に分けられます。
(1)アレルギー性
じんましんはこれが典型だ、と考えられている節があります。なんとかアレルギーというもので、症状はじんましんの定番です。何かに触れる(金属など)、食べる(たまご、そばなど)、吸う(動物の毛、ほこり)、注射(BCGなど)のような、外からの刺激によって発生するものです。
(2)非アレルギー性
経路ははっきりしていません。ただ、原因をたどればこれかな?というものは、風邪や虫歯、また、ヒスタミンに類似した物質を持つ食べ物(タケノコなど)、血管に直接作用する食物(チーズなど)、そして先ほどのベルトに圧迫される皮膚のような物理系の刺激が、この非アレルギー性にあたります。
(3)原因不明
実は、この原因不明というじんましん、全体の症状のなんと約7割を占めるのです。体質等が考えられますが、疲労やストレスであるかもしれません。原因を探るためには、「原因は食べ物」との先入観は捨てましょう。それから始めないといけないですね。
3.治療の方向性
治療としては基本的には対症療法です。疲れの「黄信号」とも言われるじんましん。その症状が出たときには抗ヒスタミン剤の内服が一般的です。最長で2週間くらい連続で服用し、症状が落ち着けば徐々に薬は減らします。副作用としては、眠気があるので飲み方のTPOには注意しましょう。
かゆみは、精神にも影響が大ですから、痛みよりはましな分、イライラの原因になったりもします。周辺に迷惑をかけないためにも、あまり神経質にならず、自分にあった薬の内服や用法について、よく相談しましょう。