例えば、転ぶということ自体、そんなに大層なことではありません。しかし、体の状態や転ぶ場所によっては、世代を問わず危険なもので、命に関わることもあるのはご存知のとおり。ましてや高齢者においては、転倒の結果、骨折やその他の派生した事故の可能性が高くなります。
今回は、転倒に注意するための知識をつけましょう。
Step1 老化と向き合う
日常的な老いは、坂道や階段が、以前は普通に上り下りできたものの、自分の生活に支障となることを、普段の生活で何となく感じることから実感します。また、他者と比べて、歩く速度が少しスローに感じることも、脚力の減退信号です。そして、老化が最も早く始まるという「目」。これについても白内障等眼の疾患により、見えないことで障害物や床の状態に気づかない、ということがあります。転倒というのは、このように、「気持ちはあるが、体がついていかない」という、心と体の差の原因で起きることになります。あまり認めたくはないものの、これをしっかり認識することが、転倒予防のための第一歩です。
Step2 転倒を避ける~危険箇所の認識~
自分の体の状態を認識することをStep1とすれば、その次は身の回りの危険箇所の把握です。
①階段や段差
高い所が危険なのではありません。実は最後の1段の踏み外し事故が多いのです。油断大敵。手すりなどがあれば、最後まで頼りましょう。
②濡れているところ
水は透明。そのため見える人にはチェックできますが、眼が見えにくい人には大変危険です。
③物を片付けていない所など
これについても、ハッとする所に物があれば、躓(つまずき)きのもとです。
④薄暗いところ
眼は老化の最先端であることを忘るるなかれ。照明にも工夫し、夕方に出かけるときなどは、小型の懐中電灯等の持ち歩きも有効です。
なぞなぞにあるように、年を重ねれば人間は3本足で安定を図る、そのようなことは誰しも当たり前のこと。杖というと、大袈裟なイメージをもたれるかも知れませんが、最近は機能的にも持ち運びにも優れたものが普及しつつあります。脚の負担を減らすことで、日常生活の補完をし、出かけることに臆病にならないような取り組みも必要です。なお、家での転倒も油断ならないもう一つの課題。リフォームの時期と重なるなら、ユニバーサルデザインやバリアフリーの住宅空間を構築することも、不安解消の一つですので、ご検討されてみてはいかがでしょうか。